ワイマラナー特徴

犬種の特徴は、
血統書発行団体の規定に沿った内容です。

毛色等はその種に認められた規定になります。
体高、体重などは基本的なサイズとして規定に近いほどスタンダードに近いと言えますが、
近年の平均的なサイズを表しているものではありません。

家庭で飼われている犬・猫のサイズが、
規定より大きすぎる場合や、又は、小さすぎる場合、
それが健康に大きく影響を与えるものではありません。

犬のサイズに関係なく、健康管理は飼われる方の、
日頃から愛情持って接することで、体調の変化などに、
素早く気づき、対応していただくことが、何よりも重要です。


「ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典」より(  最終更新 2011年6月15日 (水) 13:08  )

 

ワイマラナーは狩猟犬の一犬種。19世紀初めに作出され、シルバー・グレイの被毛を持つ。初期のワイマラナーは、イノシシ、クマ、シカといった大型獣の狩猟犬として王族によって使役されたが、こういった大型獣の狩猟の人気が落ちると、鳥、ウサギ、キツネといった小型鳥獣の狩猟犬として使役されることになった。獲物を指し示す(ポインティング)能力や、追い出す、飛び立たせる(フラッシング)能力に特化した犬種とは異なり、あらゆる用途に適した狩猟犬である。ワイマラナーは素晴らしい狩猟犬であり、飼育者、家族に対し忠実、友好的で、その家族とテリトリーを守るためには恐れを知らない番犬となる。名前は狩猟を好んだザクセン=ヴァイマル=アイゼナハ大公国大公カール・アウグストにちなんでいる。

 

 

説明 :

 

外観 :

体格 – 上品、適度な大きさ、優美かつ強健

体重 – 25-32kg(58kg以下)

体高 – オス:62-69cm、メス:58-63cm

被毛 – 短毛、美しくなめらか(長毛種も認める)

毛色 – マウスグレイからシルバーグレイ

頭部 – 長く高貴、マズルは強固

歯 – シザーズ・バイト(鋏状咬合)、ただし0.15cm(1/16")以上の不整合は不可

眼 – アンバー、ブルー・グレイ、グレイ

耳 – 適度な長さの垂れ耳

尾 – 生後二日目に4cmに断尾(成犬時に15cm)

脚 – 長く、筋肉質

足 – 水かきがある

寿命 – 10-12年

ワイマラナーの外見は優美、高貴、かつ力強く、全てにおいてバランスがとれており、見た目にもとても美しい。野外の作業に適しており、天候にかかわらず家畜の見張り、番をこなすが、逆にその作業意欲を発揮させてやらないと問題犬にもなりうる。 アンバー、あるいはシルバーグレイの尾はもともとの長さの1/3程度に断尾され、場合によっては狼爪(足の親指)も除去されることがある。アメリカンケネルクラブのスタンダードでは断尾していないものはペナルティの対象とされるが、ケネルクラブ(英)やジャパンケネルクラブなどのスタンダードでは断尾していないものも認められる。現代では動物愛護の観点から、またヨーロッパでは断尾を違法とする国もあるため、誕生後も断尾をあえてしない場合も多い。

被毛 :

 

 

ワイマラナーの短くとても滑らかなグレイの被毛と、他犬種にあまり見られない眼の色は、どの犬種とも異なった堂々とした印象を与える。また、その明るいアンバー、グレイ、ブルー・グレイといった眼の色からハンガリー原産のビーシュラと非常に近い犬種ではないかと考えられている。被毛はマウスグレイからシルバーグレイであるが、耳の内側、口唇部分には繊毛あるいは無毛で、その皮膚の色も鮮やかなピンクであることが望ましい。

短く硬く手触りがよく手入れに苦労のない、犬としては珍しいシルバー・グレイの被毛は劣性遺伝子の影響で、「シルバー・ゴースト(銀色の幽霊)」、「グレイ・ゴースト(灰色の幽霊)」というニックネームの由来となった。アメリカンケネルクラブのスタンダードでは、胸部の微少なホワイトのマーキングは許容されるが、ブルー、ブラックの被毛は許容されない。

ロングヘアの品種も存在し、北米以外のケネルクラブではスタンダードとして公認されている。ロングヘアのワイマラナーは絹のような被毛をもち、ショートヘアとは異なり断尾されないその尾は、羽根飾りがついたような形状をしている。ロングヘアは遺伝子的には劣性であるため、両親ともにロングヘアの劣性遺伝子を持つ場合にのみ、ロングヘアの仔犬が生まれる可能性がある。

性質 :

ワイマラナーは機敏で非常に活発な犬種であるが、適切にトレーニングを行い、十分な運動をさせてやれるのであれば家庭犬として適している。ただしラブラドール・レトリバーやゴールデン・レトリバーといった狩猟犬種に比べると見知らぬ他人に対して社交的ではない。家族とテリトリーに対する守護意識が非常に強く、そのため排他的になりがちで、攻撃的になるのを防ぐために幼犬の頃から十分に社会性を身につけさせなければならない。また、非常に知的かつ繊細、自己解決能力に優れた犬種で「人間の頭脳を持つ犬」と譬喩されるほどである。

 

 

狩猟犬としての活動性、忍耐力、持久力を維持し、その能力を正しく評価するためにも、若年期から十分な運動をさせる必要がある。長時間の散歩だけではなく、頭を使うゲームや一緒に遊んだりすることを好む。活動的な飼育者の方が本犬種に必要不可欠な、体力を消費する運動、ゲーム、ランニングをより多くさせてやることができるだろう。 ワイマラナーはかなり神経質で、ときにうんざりさせられることもあるため、飼育者にはうまく犬をなだめ、行動をコントロールできる能力が要求される。特に騒々しく聞き分けのない生後数年の間、飼育者には一貫性のある厳然とした、ただし優しく丁寧なトレーニングを心がける忍耐力が必要である。

ワイマラナーは他の多くの犬種同様に、しつけられていない未熟な若犬が一頭で放っておかれると、自らの欲求のままに家や家具をぼろぼろにしてしまうかもしれない。この結果飼育を放棄されてしまうこともあるが、問題行動の多くはしつけと愛情の欠如、孤独、不十分な運動が原因である。

ワイマラナーは本来狩猟犬であり、強い狩猟本能を持っているということを忘れてはならない。仔犬の頃から慣れているのであればネコとも仲良くするかも知れないが、多くの場合、庭に迷い込んだりした小動物を追いかけ、殺してしまう。農村地帯で飼育されているワイマラナーは、シカやヒツジを追いまわすかもしれないが、こういった本能的な行動は的確なトレーニングである程度抑制することが出来る。適切に訓練されたワイマラナーとは、飼育者の傍らを片時も離れない、仲間ともいえる素晴らしい関係を築くことができる。

健康 :

 

ワイマラナーは深い胸部(deep-chested)をしており、他の犬種に比べて胃捻転になりやすく、適切な処置をされないと死に直結するような重篤状態に陥る。胃捻転は胃が捻れることにより食物の流れが妨げられて滞留し、ガスで胃が拡張して周辺の臓器を圧迫、全身の血流を止めてしまう疾病である。兆候は苦痛、不快、胃の膨張で、即座の治療が必要であり外科手術がほぼ唯一の治療法である。予防法としては、食餌を1日2回以上に分けて与え、食餌直後の激しい運動を避けること。ワイマラナーの飼育者はこの疾病を無視することなく身近な問題であることを理解し、非常時に備えていつでも獣医師に連絡できるようにしなければならない。

大型犬種に共通な股関節形成不全も重要な問題である[1]。成犬時に股関節形成不全になるかどうかを幼犬の段階で判断できるレントゲン検査法であるOFA(en:OFA)、PennHIP(en:PennHIP)を用いて検査しているブリーダーからワイマラナーを入手することが望ましい。 その他の健康上留意すべき点として、以下がある[1][2]。

潜在精巣

肘関節形成不全(Elbow dysplasia)

睫毛重生(en:Distichia)

フォンウィルブラント病(Von Willebrand Disease)

眼瞼内反症

甲状腺機能低下症

肥大性骨形成異常(Hypertrophic osteodystrophy)

成長ホルモン分泌不全(Growth hormone deficiency)

髄鞘形成不全(Hypomyelinogenesis)

腎形成不全(Renal dysplasia)

進行性網膜萎縮症(Progressive retinal atrophy)

問題行動 :

ワイマラナーには2つの問題とされる行動が存在することが知られている。 見られがちな問題行動は、激しい分離不安である。犬によっては、しばらく離れていた飼育者と再会した際の過剰なよだれ、歯を折ったり唇を切ったりするほどの破壊行動となって現れる場合もある。しかし飼育者の言葉を理解できる賢さがあるので、説明によって落ち着いて人間を待つこともできる。飼育者次第である。分離不安は加齢とともに落ち着くとはいえ、完全に無くなることはない。

次に攻撃性だが、個体差もあるが、幼い頃から広汎な社交性を身につけさせることにより防ぐことが可能である。しかしながらワイマラナーは本来、鳥、小動物、イノシシ、ヘラジカ、クマといった大小様々な獲物を狩猟するという目的で改良繁殖されてきた犬で、ある程度の攻撃性は先天性のものである。

専門家によるトレーニング :

 

 

 

飼育経験の少ない飼育者にとって専門家によるトレーニングは有益であり、これには家庭の他のペットに対する接し方なども含まれる。トレーニングの結果他の犬への攻撃性がますます高くなる可能性はあるが、ワイマラナーは忠実、遊び好き、愛情豊かなペットであり、機敏で友好的な家族の一員となる。訪問客は警戒されることなく、むしろ大歓迎されるかもしれないが、ワイマラナーは周囲に目を配ることを忘れず、家族とそのテリトリーを守るために常に身構えている。広汎な社会性を身につけさせることは重要である。

ワイマラナーを飼育したいと考えている人は、この犬種が騒々しく、はしゃぎすぎることがあり、幼児がいる家庭には推奨されていないということに留意する必要がある。ただし、ワイマラナーが幼犬の頃から幼児やその他のペットと一緒に過ごしながらトレーニングできるのであれば問題はない。魅力的でもあり手に負えないこともあるが、これこそが本犬種の際だった個性といえる。

歴史 :

 

ワイマラナーのスタンダードは1800年代から確立されつつあったが、よく似た特徴を持つ犬は1200年代のフランス王ルイ9世の頃から存在したことが確実視されている。ヨーロッパで繁殖されていたポインター種とマスティフがその直接の先祖であると考えられており、特に外見上の高貴さと信頼が置ける狩猟犬であることを目的に改良を重ねられた。所有者は上流階級に限られ、そこで本犬種は高い評価を受けた。当時としては珍しいことに群れで飼育されていて、周囲に仲間や飼育者がいることが当然であった結果、一頭で犬小屋に閉じこめられたりすると落ち着きを無くす犬となった。ワイマラナーはあらゆる用途に適し、番犬、狩猟犬としても、更には子供に対しても愛情深く忠実な家庭犬である。現在でも狩猟犬として使われ、獲物の生殖器を攻撃しようとする狩猟本能はとりわけ興味深い。

ドイツはあらゆる狩猟能力を兼ね備えたこの犬種を自国で独占していたが、1950年代にアメリカに1組のペアを紹介したところたちまち評判となった。個々の能力、例えば脚力はポインター種に比べて低かったが、狩猟犬としてのあらゆる資質において万能であったためアメリカ合衆国の狩猟家に大歓迎された。その快活で活発な性質は好ましく受け入れられたが、幼児のいる家庭にはあまりに活動的であったようである。本種の人気のあまり、望ましくないペアでの繁殖が行われた結果、問題のある犬が産まれるようになってしまったのは残念なことである。本犬種の人気が衰えなかったイギリスとアメリカのブリーダーは、それ以来ワイマラナーのクオリティを落とさぬよう注意して繁殖を行うようになった。